国産LLMのELYZA(イライザ)とは?概要や3つの特徴、注目される理由

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ChatGPT や Claude3 などチャット型のAIが話題ですが、日本にも国産のチャット型AIがあるのをご存知でしょうか?

今回は、国産のチャット方AIの中で最も注目を集める、ELYZA(イライザ)について、その特徴と必要性を解説します。

ELYZA(イライザ)とは?その概要と性能

画像引用;ELYZA、グローバルモデルに匹敵する日本語LLMを開発、デモ公開

ELYZA(イライザ)は、日本のAI研究開発における第一人者、松尾豊教授が室長を務める「東京大学松尾研究室」で開発された国産Large Language Model(大規模言語モデル)です。

OpenAI社のGPTや GoogleのGeminiと同様に、大量のテキストデータから言語のパターンを学習したAIであり、言語に関する複雑な特徴を理解しタスクを実行します。

3月12日に公開された「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」は「Claude Instant」や「GPT-3.5 Turbo (1106)」を上回ると評価されています。

画像引用:note.com/elyza

利用に関して料金などは未定で、都度相談が必要とのことですが、公式サイトではデモ版を無料で試せます。

ELYZA(イライザ)の3つの特徴

ELYZA(イライザ)関連のニュースを見る際は次の3つの特徴を知っていると、より理解が深まるでしょう。

  1. 東京大学松尾研究室で開発された国産LLM
  2. Meta社の Llama2 をベースにトレーニング
  3. KDDIグループと資本業務提携を締結

それぞれ、かんたんに解説します。

東京大学松尾研究室で開発された国産LLM

ELYZA は、日本で一番有名なAIの研究室である「東京大学松尾研究室」で開発されました。

松尾研究室では研究員・学生、教職員含め約60人が所属し、日々最先端技術の社会実装の可能性を探っています。

一人ひとりが研究やプロジェクトに集中し、大きな裁量と責任を持って自立自走する自由な雰囲気であり、週に一度の論文輪読会で研究成果や実装の進捗をこまめに確認し、ディスカッションやコミュニケーションをとる機会を設けています。 

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研究室長の松尾豊教授は、東京大学大学院工学系研究科の専攻長日本ディープラーニング協会の理事長を務める、日本のAI業界の第一人者です。

ChatGPTをはじめとする生成系AIが世界中で注目されるようになり、今後の世界の変化や日本がどう対応すべきかの啓蒙活動などもされています。

日本のAI研究の最先端の研究所だと考えてよいでしょう。

Meta社の Llama2 をベースにしている

ELYZAは国産のLLMですが、ベースにはMeta社のオープンソースLlama2を使用しています。

かんたんに言うと、Meta社がある程度訓練したAIを日本語で強化したのがELYZAなのです。

公式ブログによれば、Llama2 を採用したのには、次のような理由があるとのこと。

(1)学習に必要なデータ量とコストから見た利点

  • 最先端のAIを作るには日本語データだけでは不十分
  • Llama2は公開モデルの中でデータ量が超大規模
  • Llama2をベースにすればデータ学習のコストを抑えられる

(2)従来の技術とLlama2 の新要素を備えている

  • タスク処理の性能向上の技術やその学習の技術採用されている
  • 開発時の学習を効率的に進めるための技術が採用されている
  • Llama2で提案された新しい技術がで計算資源を節約できる

(3)Llama2の実績と将来性

  • Alpacaなど多くの派生モデルを生み世界的に注目されている
  • 条件付きではあるが商用利用可能でこれからに期待されている
  • AIの技術の共有するコミュニティで盛り上がりを見せている

巨人の肩に乗ることで飛躍的に成長したAIだと言えるでしょう。

KDDIグループと資本業務提携を締結

画像引用:news.kddi.com

ELYZAは、今後グローバルモデルに匹敵するAIを目指すため、2024年3月18日 KDDIグループと資本業務提携を締結しました。

2024年4月1日を目途に、KDDIは43.4%、KDDI Digital Divergenceは10.0%のELYZAの株式を保有し、ELYZAはKDDIの連結子会社となります。

ELYZAはKDDIグループの支援を受けながら、将来的なスイングバイIPOを目指します。

ELYZAとKDDIグループ、生成AIの社会実装に向け資本業務提携を締結

スイングバイIPOとは、大企業のサポートを得て成長して上場することを指します。

今回の提携で、ELYZAとKDDIは次の3つの項目において協業体制となります。

  1. 日本語の汎用LLM開発を加速
  2. 各業界に特化したLLMの開発と提供
  3. DXの支援やAI SaaSの提供

2024年3月時点で、ELYZAの性能はGPT3.5を若干超えた程度です。

チキンくん
チキンくん

体感的には無料版のChatGPTと賢さは同程度で、速度はちょっと遅いです。

当面はLLMとしての性能を強化することが必須かと思われます。

なぜELYZAが注目されるのか、国産LLMの必要性

OpenAI社のGPTや、GoogleのGeminiなど、日本語でも実用レベルで使用できるLLMはすでにいくつもあります。

しかしそのどれもがアメリカ企業のものであり、今後の国際的な競争や国防的な視点で考えると国産LLMは必要といってよい存在になっていくでしょう。

経済効果の面では、Apple Storeが想像しやすいかもしれません。

日本国内で優秀なアプリが開発され、日本国民がユーザーとして利用料を払ったとしても手数料はつねにApple社に徴収されてしまいます。

同様に、今後LLMをベースにしたプラットフォームが現れた時、そのベースが海外の技術であれば利用料を払い続けることになりかねません。

また、ELYZAを開発した研究室の室長、松尾教授はあるインタビューで次のような問題も指摘しています。

生成AIは文脈を入れれば入れただけ、良い回答を返します。最初は当たり障りのない情報しか入れなくても、いずれ顧客情報を入れたい、経営情報を入れたいという声が高まるはずです。その時、企業ならまだしも、官邸や防衛省のような公的な機関が、それを行ってよいのかという議論になるはずです。

wisdom.nec.com

ほかにも、AIの進化で思いもよらない危険や利益が現れるかもしれません。

今、国産LLMを開発し自国で自由にできる高性能をAIを準備しておくことは非常に重要だと考えて良いでしょう。

まとめ

国産Large Language Model、ELYZA(イライザ)に関する解説を通じて、日本独自のAI技術の必要性とその重要性に光を当てました。

ELYZAは、国内外での技術競争において重要な役割を果たすだけでなく、言語の多様性と文化的ニュアンスの理解においても独自の価値を提供します。

このような国産技術の発展と普及は、テクノロジーの未来において、日本が世界舞台で独自の立場を築くために不可欠です。

ELYZAの進化とその応用は、AI技術の未来を形作る上で注目すべき動きと言えるでしょう。

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